がらんどう タイトル
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がらんどう タイトル
がらんどうの出版物 「がらんどうから銀花にかかわる5人の木版画集」 2002年9月発行  1500円(税込1575円)
店内
「それぞれの木版画」
不思議な懐かしさと居心地のよさに包まれた夜だった。「同窓会みたい」何気なく放たれた吉田さんの一言が、あの夜を豊かに表現していた。 大野隆司、野村たかあき、山田喜代春、吉田正樹、渡辺洋一。「銀花」百号に綴じ込んだ、特別付録の木版画を制作した版画家たち。自ら描き、彫り、そして膨大な数を摺りおろした。あれから七年。「がらんどう」という温かな空気の流れるギャラリーで、五人の版画は再び集まったのである。
毎年二月最終の日曜日に信濃デッサン館でひらかれる「槐多忌」で、前橋在住の版画家野村さんに出会ったのが、がらんどうで、ギャラリーをひらくきっかけになりました。 自己紹介のあと、「あの銀花百号の鬼の野村さん?」これがきっかけで、私たちはあっという問にもう古い友人のごとく話がはずみました。そして、今回その銀花で、こ縁を頂いた、大野隆司さん、山田喜代春さん、吉田正樹さん、渡辺洋一さん、そして野村たかあきさんの五人の木版画集を出版させて頂くことになり、本当にうれしい出会いになりま した。すばらしい人たちに出会い、すばらしい作品に出会い、夢がひとつひとつ形となって、小さな空間を満たしてくれます。不思議なうれしいことばかりです。様々なご縁が背中を押してくれた出発でした。そして今、一人でも多くの方々に、こ覧頂きたい、聴いて頂きたいという思いは、ふくらむばかりです。人から人へといいこ縁がつながっていけたらと願っております。      二〇〇二年八月   吉地直美


「めぐり会う」ということ   窪島誠一郎
吉地直美さんの画廊のキーワードは「めぐり会い」である。展覧会で取り上げられる作家や作品、(私も何回か招かれたことのある)講演会や催し物の内容をみればそれがよくわかる。そこには吉地さんを中心にした「めぐり会い共和国」とでもよんでいゝような人問の輸がひろがっている。吉地さんは何より人間関係を大事にする。あるいは人と人との出会い や、心と心のふれあいを大事にする人なんだな、ということがそれをみるとわかるのである。 「がらんどう」という店名をどうして付けたのかきいたことはないけれども、辞書をひくと「がらんどう」は「伽藍堂」で、一口にいえば「人も物も何もないホラ穴」という意味。たゞしこれも吉地さん流に解釈すると、自分の心を空っぽにして相手をうけいれる、といったことになるのかもしれない。相手(作家や作品)と出会う前に、ツマラナイ先入観や予備知識にふりまわされたり、世間の噂や評価に簡単に左右されたりする根性や精神だったら、とても本当の友人や仲間は得られないということなのだろう。 考えてみれば、吉地さんの本業である古書や絵画の収集も「めぐり会い」が基本である。つねにこちらの心を白紙にしておいて、眼の前にピンとくるものが登場したときに、すかさず札を入れるというのがコレクションの極意である。 これまで何十回となく催されてきた画廊での展覧会も、あるいは講演会やコンサートも、そうした吉地さんの独特の「めぐり会い」術があったからこそ実現できたことのように思う。証拠に、この吉地さんの「めぐり会い共和国」に入国(?) した画家や作家、ミュージシャンや冒険家たちは、それ以後ずっと吉地さんのそばをはなれようとしない(私もそうだ)。つまり、吉地さんをとりかこむ「共和国」の人たちは、みんな吉地さんに喜んでコレクションされてしまった人たちだからなのである。
多少でも人生の苦しみや哀しみを経験した人なら、この世が自分一人の力ではどうにもならないことをよく知っているし、世の中の大抵のことが人と人との縁、人と人との絆によって動いていることも知っている。 そして、人問はだれだって、心の奥にそうした無限のさみしさをかゝえた生きものであることも知っているだろう。吉地さんの「がらんどう」は、そんなさみしがり屋人間ばかりがあつまる居心地のいゝホラ穴のよ うな気がするのだが、どうだろうか。もちろん、一番のさみしがり屋が、この「がらんどう」当主である吉地さん自身であることはいうまでもないが。   (「信濃デッサン館」「無言館」館主・作家)
店内


大野 隆司
大野 隆司 (おおの たかし)   ホームページ
1951 年 東京都葛飾区に生まれる
1981 年 谷中安規(1897〜1946年)作品に強い感銘を受ける
1983 年 独習により木版画制作開始
1985 年 月刊版画同人誌「汎画(はんが)」に参加(90年通刊66号終刊)
1987 年 小論「版画家 谷中安規」(『美術手帖』9月号)
1991 年 頒布会「ふうせんの会」開始
1992 年 NHKモーニングワイドで頒布作品が紹介される
1993 年 『版画芸術』72号 添付オリジナル版画「赤猫草紙」制作
1994 年 NHK日曜美術館「谷中安規」に出演
1995 年 『季刊銀花』100号記念添付オリジナル版画「うさぎ百羽・仏陀伝」制作
1996 年 『版画芸術』88〜95号「谷中安規供養塔」連載
1997 年 頒布会「版画おもちゃ箱」開始
2000 年 『蔵書票ジャーナル』10号 添付オリジナル作品制作
2000年より10年個展活動をいったん休止し、創作期へ


野村 たかあき  (のむら たかあき)
1949 年 前橋市に生まれる
1964 年 木彫り創作をはじめる
1983 年 木彫・木版画工房「でくの房」を開く
1983 年 第五回講談社絵本新人賞を「ばあちゃんのえんがわ」で受賞、講談社より刊行
1985 年 木彫壁画「風とわらべと」(3.6x2.7m)を制作(前橋市、特別老人ホーム「やすらぎ園」)
1985 年 絵本「やまのえき」(講談社) 「おにぎりなっば」(嬬恋村)
1988 年 絵本「おにころ」(新町)
1989 年 絵本「おじいちゃんのまち」(講談社)
1990 年 木版画集「元鬼がなにより」(朱鷺美術)
1990 年 第13回絵本にっぽん賞を「おじいちゃんのまち」で受賞
1991 年 英語版「おじいちゃんのまち」KM社刊行(アメリカ)
1994 年 特別企画展「野村たかあき鬼の世界展」日本の鬼の交流博物館(京都・大江町)
1994 年 季刊「銀花」百号記念に添付版画「百鬼やっほう」を制作
1994 年 絵本「たいのしま」(講談社)
1996 年 日本橋三越本店にて個展
1996 年 北上市立鬼の館「百鬼やっほう展」(岩手・北上市)
1997 年 県立高崎高等養護学校に木彫モニュメント「風神の子、雷神の子」を制作
1999 年 県立土屋文明記念文学館特別展「みんなおいでよ絵本のくにへ」絵本の原画展(群馬・群馬町)
2001 年 木版画集「鬼野遊」(がらんどう)
野村 たかあき


山田 喜代春
山田喜代春 (やまだきよはる)
1948 年 京都に生まれる
1967 年 京都府立朱雀高校烏羽分校卒
1971 年 ヨーロッパ放浪
1980 年 自作の詩を用いて木版詩画作品を頒布会 「板切れ月報」を始める
1983 年 木版画によるオリジナル詩画集「人物抄」(湯川書房)
1984 年 「八ガキ版画館」(書舎コイケ)
1989 年 季刊「銀花」80号に5000枚の直筆詩画を制作
1990 年 詩画日記「ぼくはコペルニクスだ」(亀山社中)
1991 年 季刊「銀花」88号記念号「八八あったらいいな」(全八点)を制作(木版画・一冊に一点添付)
1991 年 木版画詩画集「けんけん」(アスカ)
1993 年 サクラアートミュージアムで個展(サクラクレパス協賛)
1994 年 季刊「銀花」百号記念に添付版画「百を寿ぐ唄」を制作
1994 年 木版画によるオリジナル限定本「山田喜代春・蔵書票集」(私家版)
1995 年 KBS京都放送の番組審議会委員を委嘱される(期間3年)
1996 年 立命館大学文学部に社会人学生として入学
1996 年 京都新聞にエッセイ「ぼくは大学いちねんせい」を連載(週一回・1996.5〜1997.3)
1997 年 木版画詩画集「すきすきずきずき」(東方出版)
1997 年 エッセイ集「ぼくは大学一年生」(東方出版)
1997 年 絵手紙交流本「人並みでたまるか」(清流出版)
2000 年 バルカウス市立美術館(フィンランド)で個展
2000 年 京阪ギャラリー・オプ・アーツ・アンド・サイエンス(京阪百貨店守口店)で個展
2001 年 アロンディガ・グラナデイダス州立美術館(メキシコ)での「日本現代版画展」に出品


吉田正樹 (よしだまさき)
1947 年 岐阜県多治見市に生まれる
1991 年 木版画「ほうのき工房」設立
1991 年 個展/名古屋市・TAKENAKA銀花
1992 年 愛知県「あいち産業情報」表紙連載開始
1992 年 「暮らしに花-雑誌に・銀花を彩る人と作」展/東京・松屋銀座
1993 年 個展/知立・画廊じんがら
1994 年 季刊「銀花」百号記念に添付版画「百合三題」を制作
1995 年 個展/名古屋市・キャラリーチカシン
1996 年 個展/名古屋市・キャラリー板角
1996 年 個展/さいたま・むさしのくらふとぎゃらりー
1997 年 書票集「蝶媒花」第一集発刊
1998 年 個展/さいたま・ぎゃらりーえんじゅ
1993 年 個展/名古屋市・名鉄パレ神宮
2000 年 書票集「蝶媒花」第二集発刊
2001 年 吉田正樹木版画集「軌跡」発刊
吉田 正樹


渡辺洋一
渡辺 洋一 (わたなべ よういち)
1951 年 名古屋市生まれる
1971 年 浮世絵北斎芸術に強い影響をうけ、木版画研究に没頭
1975 年 浮世絵版画手摺師・加藤由太郎氏に指導を受ける
1980 年 この年から愛知・群馬・干葉・東京・静岡・岐阜・大阪にて個展多数
1982 年 月刊なこや(北白川書房)に「僕の名古屋十二景」を通算39図連載
1988 年 季刊「版画芸術」62号(阿部出版)にて、オリジナル添付作品を制作
1990 年 NHK名古屋放送局・マイタウン情報・季節の花にて48図放映
1994 年 季刊「銀花」百号記念に添付版画「百物合掌」を制作
1995 年 中山道木曽路十一宿(12図)完成
1996 年 山のかたちシリーズ制作始める
1999 年 第十四回国民文化祭・ぎふ九九オープニングフェスティバルオリジナルパフォーマンス・飛騨の祖王「スクナ」(両面宿儺伝説)二〇図制作
現 在 名古屋市在住

がらんどう   〒446-0072 愛知県安城市住吉町3-10-36  TEL&FAX : 0566-98-2200
更新日 2007年12月28日